「こんにちは、私はお茶のポットです。
“大家好!我是一个茶壶。
私は陶器でできていますのよ。
我可是瓷制的哟。
注ぎ口は細くて長くて素敵でしょう。
我的壶嘴又细又长多漂亮呀。
いつでしたか、どなたかがバレリーなの腕のようと、ほめてくださいましたわ。
曾经有人夸奖我的壶嘴像芭蕾舞演员的手臂。
取っ手の幅の広さはどう思いまして?
你看我的壶把儿是不是也很宽啊?
なんと申しましても、陶器は私のように上品で、しかもおしゃれでなくては。
不管怎么说,瓷器就应该像我这样高贵,时髦。
なにしろわたしは、一流の職人さんが、それはそれは丁寧に作ってくださいましたのよ。」
反正,我是一流的工匠非常非常细心地制作出来的。”
お屋敷の台所で、お茶のポットはいるも自慢していました。
在富人家的厨房里,茶壶总是这样骄傲。
でも、聞かされるクリーム入れや砂糖入れは、ほめるよりも、もっと別のことをよくいいました。
但是每次奶油罐和糖罐听到茶壶自吹自擂,不但不赞美它,反而总是提起另一件事。
「とことで、ポットさんの蓋はどうされました?」
“那么,茶壶,您的盖子是怎么搞的?”
そのことを言われると、ポットは黙ってしまいます。
提到盖子,茶壶就没话说了。
蓋は前に一度壊されて、つぎはぎにされ、継ぎ目はあるのです。
它的壶盖曾经被摔碎过,现在上面还有接缝。
そうね。誰でも悪いところに目がいくものよね。
是啊。谁都会注意到别人的缺点。
でもなんと言われても、わたしはテーブルの上の女王よ。
不过不管怎么说,我才是茶桌上的女王。
だって、のどが渇いている人間を助けてあげることができるんですもの。
因为我可以帮助口渴的人们解渴。
この注ぎ口が女王の証拠よ。
我的壶嘴能证明我就是女王。
クリーム入れも砂糖入れも、いってみれば家来じゃないの。
说到底奶油罐和糖罐都只不过是仆人罢了。
そんなある日のこと。
可是,有一天。
食事のときにだれかがポットを持ち上げた拍子に、床に落としてしまったのです。
吃饭的时候,有人拿起茶壶,一不小心把茶壶掉到了地上。
ポットは床で音を立てて、粉々になってしまいました。
茶壶发出很大声响,被摔碎了。
それから私は、貧しい家の人にもらわれて行きましたの。
后来我就被送给了穷人家。
そこで土を入れられ、球根を埋められましたわ。
我的身体里面被装进了土。土里埋了一个球茎。
私は嬉しく思いました。
我太高兴了。
なぜって球根は、私の体の中でグングンと元気に育ち、目を出したのです。
因为球茎在我的身体里茁壮成长,后来球茎发了芽。
そして、朝を、迎えるたびに大きくなり、ある朝見事な花が咲きましたの。
每天早晨它都会长得更高,终于有一天早上,球茎开出美丽的花。
花は娘のようなもの。
花就像我的女儿一样。
まあ、お礼は申してくれませんでしたが、私は幸福でしたわ。
虽然没有人感谢我,但我是幸福的。
家のひとたちは花を見て、その美しさをほめてくれました。
家里人看到花,都夸它开的美丽。
だれかを生かすために自分の命を使うって、うれしいことです。
用自己的生命培育别人,这是多么让人高兴的事。
そのとき初めてそう思いました。
那时我第一次有了这种感觉。
でも、家の人たちは「こんなきれいな花は、もっと素敵な植木鉢に植ええたほうがいいね」と、花を連れていき、私を庭の隅に放り投げましたの。
但是有一天家里的人说:“这么漂亮的花,该换个好一些的花盆。”于是他们把花移走了,把我扔到了院子的角落。
でも、私をかわいそうなどと思わないでくださいね。
但是请不要可怜我。
ええ、私は思い出がたくさんあるのですから。
因为,我有很多回忆。
これだけは、だれにも壊したり、放り投げたりできませんのよ。
只有回忆才是谁都无法破坏,无法夺走的。
おしまい
完结撒花